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アキレス腱断裂

スポーツ整形外科部長 内山 英司



踵の後ろにピンと張った筋がアキレス腱断裂です。アキレス腱の断裂は激しい運動を行うようになる10代から発生します。年齢や競技レベルに関係なくスポーツ愛好家の誰にでも起こる可能性があります。スポーツ中に足の関節後部を蹴られた感覚や、ボールが当ったような強い衝撃を感じたのにボールもなく、見回したところ誰もいなかったらアキレス腱の断裂を疑うことです。歩くことはできるので、「まさか断裂した」とは思えなくても、つま先立ちができなければ、断裂の可能性が高くなります。アキレス腱の部分に陥凹があるかを触ってみることが一番確かな診断です。特殊な検査は必要ありません。ただし、症状が肉離れと似ているため、「ふくらはぎの肉離れ」と診断されて、アキレス腱断裂が見逃されることがあります。腫れと痛みが強い場合、のため陥凹に触れることができないので注意が必要です。応急処置の有無で治療への影響は少ないですが、痛みを和らげるには、力を抜いて足の関節が自然に垂れた状態で固定することが適しています。断裂の原因は、小さな傷が腱に入り、弱くなったためではないか、といわれています。しかし特に若いスポーツマンの受傷状態を聞くと、むしろ普段より調子が良かったなどといいます。つまり筋肉のコントロールが不十分となり通常より筋肉の収縮力が強大となるような不均衡な状態に陥り断裂につながった可能性があります。中年以降での受傷は単に柔軟性が低下しているだけではなく、運動不足による筋肉収縮のコントロールの低下が影響しています。運動不足では筋肉収縮のコントロール調整がうまくいかないので、久しぶりの運動の時はストレッチングを十分に行い、準備運動が欠かせません。治療は手術療法とギブスによる療法があります。ギプスによる療法の最大の利点は傷が残らないことです。ただし、手術療法の方が通常の生活に早く戻れ、アキレス腱機能の回復も良好です。近年では「早期荷重歩行」と「早期のスポーツ復帰」が可能な手術法方が改良されつつあります。当院でも早期復帰のための手術を行い、アテネオリンピック代表の選手にも手術後5ヶ月で大会復帰を果たした選手がいます。

こちらの特集は神奈川新聞に掲載された『大丈夫ですか?心と体』を当院ホームページ用に再構成したものです